えあぱそリターンズ トイレにいきたい 04

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トイレにいきたい 04

第二章 映画館のトイレ

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映画館の静かな廊下に、一人の男の声だけが響く。

「あーあ、イヴだよなあ」
「ていうかよー、俺の携帯『ウ』に点々つけらんなくて、どうしても『イウ゛』になるんだけど、どうすりゃいいのよこれ」
「はー、このネタで今日はいけると思ったんだがなぁ」

佐藤は震えた。寒さのせいではなく、己の空しさに。
全ては四日前、彼女の誕生日に調子に乗ったのがマズかった。

「なー、付き合ってもう三ヶ月なんだしさー」
「ダメです」
「いいじゃんよー」
「ダメです」
「ねーってばー」
「別れましょう」

そして彼女は、永遠の愛を誓った彼女は、「元カノ」という何とも形容しがたい代名詞に変わってしまった。メールは何度かしたがすぐ途切れた。
結局、予定していた約束は全て破棄。腹いせに登録した短期バイトは、いかにも怪しい映画館の清掃になってしまった。

「第一、こんな人の少ない映画館の掃除してどうなるんだよっていうなー」
適当に床にモップを掛けていると、若い男女が入ってくる姿が見えた。
「ん…、なんだよあの若い奴ら。ここはコーコーセイが来るとこじゃねえっての」
ぼやけばぼやくほど、今の自分が空しくなってくる。

それにしても、ここの入館者は汚らしい中年や旅行気分の外人ばかりだったので、今の二人は印象的だった。佐藤は二人のその後を妄想してみたが、売店でマズいポップコーンを売っている社員ににらまれたので、あくせくとモップを振るった。

トイレ掃除が一番だるいんだよなぁ…。トイレットペーパー切れてるけど、もう知らねぇや。よしもういっそのこと女トイレは清掃中にしといてやろう。どうせ女性客とかAVの撮影のときぐらいしか来ないしな。…見たこと無いけど。
あーあ、帰ったらTSUTAYA行ってAV借りまくろう。どうせだから最近話題の滝田洋二郎監督の痴漢モノばっか当日で5本ぐらい借りてやれ。うひょお!

やけに広くて静かな空間は、彼の疲れた精神をさらに荒廃させた。
佐藤は女性トイレの入り口に「清掃中」の立て札を掛け、スタッフルームへと戻って行った。

2009/02/25 20:28 | 連載小説。COMMENT(0)


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