えあぱそリターンズ トイレにいきたい 03
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トイレにいきたい 03

(3)
これは何かの夢だろう。

決戦当日。朝からYourFileHostの規制にイラムラしていると成くんからメッセージが届いた。
「ついに今日か」
「うん」
「調子に乗りすぎるなよ」
「うん」
「間違っても卒業とか考えるなよ」
「うんこ」
言いたいことは済んだので行く用意を済ませる。テレビでは朝のニュースからクリスマス特集だとかでいつもより楽しげだ。これを見るたびに陰鬱な気分でザッピングしていたおれだが今年は違う。
財布も持った、携帯も充電した、ゴムは買えなかった。そしてこないだ騙されて買った衣類を身にまとっていざ臨戦モード!…の前にやっぱりYourFileHostで白石ひよりの現役時代を拝むことにした。おああジーザス。
成くんにはあんなこと言われたが、期待しちまうのが男という生き物なのだ。今日だけは抜いてられない。ひより様が脱ぎだす前にPCをシャットダウンさせ、自転車の鍵を掴んで家を出た。

勢い余って外に飛び出してみたものの、待ち合わせ時間は13時からということで、しばらく街を徘徊しつつ昼飯の場所を考えることにした。駅ビルの大階段では奇妙な姿をした一団が輪になって踊っていた。何が楽しいのやらおれにはわからないがクリスマスなんてそんなものなのだろう。結局駅ビル内にあった佐世保バーガーを頂くことにした。
期待以上の昼食をのんびり食べていると、携帯が鳴った。先日、専用の着メロ(1k音)に設定してあったので師岡からのメールというのはすぐにわかった。
『あ、なんか15分ぐらい早く着きそう。近くの本屋入って待ってるね(笑顔)』
時計を見ると12時半をまわっていた。しまったのんびりしすぎた。セットで付いてきたポテトを口の中に放り込んで店を出た。本屋まで自転車で走れば10分で着く。おれは寿命を縮めるほどの気持ちで自転車をこいだ。途中でおっさんに舌打ちされてからは速度が落ちた。
到着して本屋を見渡してみても、師岡らしき人影はなかった。どうやらこっちが早く着きすぎたようだ。はあはあと鼻息を荒げながらジャンプを読むのも何言われるかわかったもんじゃないので、適当なファッション誌を見ることにした。うっはこの読者モデル、マジで雰囲気イケメンだな。

ほう…、孔雀は堕天使の象徴なのか…。
また新たなモテ情報を得たおれは後ろから声をかけられるまで何も気付いていなかった。
「や」
「お、お、おこんばんわ」
「まだ昼ですよ。寝起き?」
「そんなことは、ははは…」
おれの悪い癖が始まってしまった。どう頑張っても異性と自然に会話ができないのだ。中2のときに隣の席の女の子に話しかけられたときも、高校のときの可愛かった先輩も…、全てはこの性質が災いしておれからどんどん離れていった。そしてきっと今回も…。
「じゃあ行こっか、あんまり時間ないし」
しかし師岡は、そんな出来損ないの男に微笑みかけて、店の外におれを連れていった。なんだ、何が目的だ、詐欺か、壷か、英会話セットか、宗教団体なのか…。
師岡はさくさくと人ごみを抜けて前へと進んでいく。一連の不安をかかえつつも、それに置いていかれないように必死でついて行くおれ。嗚呼ほんとに情けない。人ごみは苦手なんだ。AV女優に男優が取り囲んでる構図をたまに見るけれど、あれは一体誰が楽しい思いをしているのかがわからない。リコピンだってキモい男は嫌なはずなのにどうしてあんな酷い仕打ちを…。
妙なトラウマが何かと混ざってしまった頃、ついに地元ではポップコーンがまずいと悪評の映画館に到着した。

「で、さ、何見るの?」
師岡の足は止まらない。
「あれ?」
思わず声に出てしまった疑問が、師岡を振り向かせた。
「どうしたの?こっちですよ?」
いつもと変わらない敬語がおれを呼んだ。やはり…俺の想像は杞憂ではなかったのだ。このあと怪しげなオフィスビルにあげられて、知らない男たちに囲まれて、ガッシボカ宮田は死んだスイー…
「着きました。早く入らないと始りますよ」
「ん?」
そこは、確かに映画館の入り口であった。しかしおれが頭に描いていた普通の映画館ではなく、その正反対に位置する…、ポルノ映画館だった。看板にはでかでかと『人妻アヤ・路地裏の密談/他豪華3本立て』と、どう考えても90年代のキャッチコピーが唸っている。
おれはなにがなんだかわからなかった。平然とした顔でいる師岡は一体どういうつもりなのか?何かの罰ゲーム?店長はこの事実を?ていうかこの優待券で入れるの?あれ?ていうか師岡さんもう勝手に入ってるしあれ?あれ?

「3000円になりまーす」
やる気のない受付のおっさんに金を支払い、師岡を追った。いろいろと考えることはあって混乱していたが、おれには今となってはもはや彼女しかいないのだ。ていうか優待券使えなかったじゃねえか畜生。
「いて」
駆け足気味に追いかけると横腹が痛んだ。さっきの自転車で相当トばしすぎたせいか、それとも佐世保バーガーのせいか。自分の頭に響く声を無視して走った。

なんだか無性に、トイレにいきたい。


※1 白石ひより
元AV女優。なかなかの有名人。
中学生のとき最もお世話になった人。

※2 着メロ(1k音)
深夜にテレビをつけたときピ――って言うアレ。
あまり心地よい音ではない。

※3 雰囲気イケメン
最近、街を歩くと本当によく見かけます。
でも雰囲気で押し切ったもん勝ちです。たぶん。

※4 リコピン
元AV女優の立花里子のこと。
最近見ないと思ったら出版とか頑張ってた。

※5 ポルノ映画館
モデルとなった映画館は本当に反対側にある。
ちなみに最近閉館した。

2009/01/11 22:29 | 連載小説。


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